(2)健康診断、適性診断

運送業の巡回指導の重要ポイントについて引き続き解説していきます。

健康診断

運送業に限らず、企業は労働安全衛生法に基づき従業員に健康診断を受けさせなければなりません。
巡回指導の際には選任された運転者全員の健康診断結果を確認します。健康診断は雇い入れ時に受診させ、定期健康診断については年1回、深夜時間帯(午後10時~午前5時)に従事する場合は年2回となっています。尚、深夜時間帯の勤務が月に1~2回程度であれば対象外と見なされますが、週1回程度または月4回程度の回数になると深夜時間帯の勤務との判断になりますので年2回の受診が必要になります。

検査項目については以下の通りです。
・既往歴および業務歴の調査
・自覚症状および他覚症状の有無の検査
・身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
・胸部エックス線検査および喀痰検査
・血圧の測定
・貧血検査
・肝機能検査
・血中脂質検査
・血糖検査
・尿検査
・心電図検査

健康診断の結果は、必ず事業者でも確認し「要再検査」や「要精密検査」などの判定があれば必要な措置(再検査や受診の指導など)を取りましょう。

適性診断

運送事業者は事業用自動車の運行の安全を確保するため、運転者に適性診断を受けさせなければなりません。
適性診断はNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)などで受診することができます。

(1) 初任運転者
・運転者として常時選任するために新たに雇い入れた人
・初めて事業用自動車に乗務する前に初任診断を受診させます。但し、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に受診させます。

(2) 高齢運転者
・65歳以上の人
・適齢診断を65才に達した日以後1年以内(65才以上の者を新たに運転者として選任した場合は選任の日から1年以内)に1回受診させ、その後3年以内ごとに1回受診させます。

(3) 事故惹起者
・死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に交通事故を引き起こしたことがない者及び軽傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の3年間に交通事故を引き起こしたことがある者
・死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に交通事故を引き起こしたことがある者
・当該交通事故を引き起こした後再度事業用自動車に乗務する前に、事故惹起運転者の区分ごとに特定診断Ⅰ又は特定診断Ⅱを受診させます。但し、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に受診させます。

診断を受けさせなかった場合は罰則がありますので、必ず受けるようにしてください。

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